要件定義とは何か
要件定義とは、プロジェクトの目的、機能、性能などを明確にするプロセスです。ステークホルダーのニーズを満たすための基盤となる重要な工程です。
要件定義は後工程のコスト削減に直結します。この段階での曖昧さは後々のリスクとなります。
要件の3分類
- 機能要件:システムが何をするべきか
- 非機能要件:性能・セキュリティなどの品質特性
- 制約条件:法的・技術的な制限事項
要件収集の基本
- 現状業務のヒアリングと整理
- 業務上の課題・ニーズの把握
- 将来像・To-Be状態の策定
- 具体的な機能要件への落とし込み
曖昧な表現を避け、具体的かつ測定可能な言葉で要件を記述することが重要です。
有効な収集技法
インタビュー
アンケート
ワークショップ
現場観察
プロトタイピング
ドキュメント分析
要件文書の作成
要件定義書はステークホルダー間の合意形成のための重要なドキュメントです。曖昧さを排除し、具体的に記述しましょう。
項目 | 記載内容 |
---|---|
目的 | システム開発の背景と目指す姿 |
範囲 | 対象業務・システムの境界定義 |
用語定義 | 業界用語や専門用語の説明 |
機能要件 | 必要な機能の詳細と優先度 |
非機能要件 | 性能、セキュリティ、可用性など |
要件文書のポイント
- 誰が読んでも同じ解釈になる表現を
- 数値による定量的な記述を心掛ける
- 要件の優先順位を明確にする
要件定義プロセス
-
ステークホルダー分析
関係者を洗い出し、影響力と関心度をマッピング -
要件の抽出
各ステークホルダーからの要求を収集 -
要件の分析
矛盾点の解消と優先順位付け -
要件の文書化
正式な要件定義書として整理 -
要件の検証
レビューによる品質確認
よくある失敗と対策
要件定義の落とし穴
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曖昧な要件表現
対策:SMART基準(具体的、測定可能、達成可能、現実的、期限付き)で記述 -
隠れた前提条件
対策:「当たり前」と思っていることも明文化する -
スコープクリープ
対策:変更管理プロセスを確立し、影響度を評価する
要件定義の80%は、正しい質問をすることで決まります。質問力を高めることが成功への近道です。
実践的なツールと技法
モデリング手法
複雑な要件を視覚化するための技法
- ユースケース図:アクターとシステムの相互作用
- ER図:データ構造の関連性
- アクティビティ図:業務フローの視覚化
- CRUD表:データ操作権限の定義
技術者と業務担当者の「共通言語」を作ることが、要件定義成功の鍵です。
検証のポイント
- 一貫性:要件間の矛盾がないか
- 完全性:必要な要素が全て含まれているか
- 実現可能性:技術的・コスト的に実現可能か
- 検証可能性:達成度を測定できるか