VBA入門向けチートシート

VBA基本概念

VBAとは

Visual Basic for Applicationsの略。Microsoftアプリケーション（Excel、Word、Access等）の自動化を可能にするプログラミング言語。

主要用語

マクロ：繰り返しの作業を自動化する一連の命令
モジュール：VBAコードを格納する場所
プロシージャ：特定のタスクを実行するコードのブロック
オブジェクト：ワークシートやセル範囲などの要素

開発環境の表示方法

Excel：ファイル → オプション → リボンのユーザー設定 → 「開発」にチェック

基本的な構文

変数宣言

Dim 変数名 As データ型
Dim strName As String
Dim intAge As Integer
Dim dblPrice As Double

最初にOption Explicitを記述すると、未宣言の変数使用時にエラーを表示。

' これはコメントです
Rem これもコメントです

制御構造

条件分岐（If文）

If 条件 Then
    ' 処理1
ElseIf 条件2 Then
    ' 処理2
Else
    ' 処理3
End If

一行で書く場合：

If 条件 Then 処理

繰り返し（For文）

For i = 開始値 To 終了値 Step 増分
    ' 繰り返し処理
Next i

コレクションに対して：

For Each セル in Range("A1:D10")
    ' 各セルに対する処理
Next セル

繰り返し（Do文）

Do While 条件
    ' 繰り返し処理
Loop

Do Until 条件
    ' 繰り返し処理
Loop

Select Case文

Select Case 評価する式
    Case 値1
        ' 処理1
    Case 値2, 値3
        ' 処理2
    Case Is > 値4
        ' 処理3
    Case Else
        ' その他の処理
End Select

関数とプロシージャ

Sub（サブルーチン）

Sub プロシージャ名(引数1 As 型, 引数2 As 型)
    ' 処理
End Sub

値を返さないプロシージャ。呼び出し方：

Call プロシージャ名(引数1, 引数2)
' または
プロシージャ名 引数1, 引数2

Function（関数）

Function 関数名(引数1 As 型) As 戻り値の型
    ' 処理
    関数名 = 戻り値
End Function

値を返すプロシージャ。呼び出し方：

変数 = 関数名(引数1)

よく使うオブジェクト

ワークシート操作

Dim ws As Worksheet
Set ws = Worksheets("Sheet1")
' または
Set ws = ThisWorkbook.Sheets(1)

' アクティブシート
ActiveSheet.Name
' セル操作
ws.Cells(1, 1).Value = "データ"
ws.Range("A1:B5").Select
ws.Range("A1").Offset(1, 0).Value

Range（範囲）操作

' 値の設定
Range("A1").Value = 100
Range("A1:B5").Value = 5

' 書式設定
Range("A1").Font.Bold = True
Range("A1").Interior.Color = RGB(255, 0, 0)

' 範囲のコピー
Range("A1:A10").Copy Destination:=Range("B1")

よく使うメソッド・プロパティ

Value：セルの値
Formula：数式
Count：要素数
Find：検索
AutoFilter：オートフィルター

デバッグとエラー対処

エラー処理

On Error Resume Next  ' エラーを無視
On Error GoTo エラーラベル  ' エラー発生時に指定場所へ

Sub サンプル()
    On Error GoTo エラー処理
    ' 処理
    Exit Sub
エラー処理:
    MsgBox "エラーが発生しました: " & Err.Description
End Sub

デバッグツール

ブレークポイント：F9キーで設定/解除
ステップ実行：F8キー
ウォッチ式：変数値の監視
即時ウィンドウ：Ctrl+Gで表示

よくあるエラー

Run-time error '91': オブジェクト変数または With ブロック変数が設定されていません
Run-time error '9': インデックスが有効範囲にありません
Run-time error '1004': Application-defined or object-defined error
Run-time error '13': 型が一致しません

実用マクロ例

データ検索

Sub データ検索()
    Dim 検索値 As String
    Dim 検索範囲 As Range
    Dim 結果 As Range
    
    ' 検索値の入力
    検索値 = InputBox("検索する値を入力してください")
    If 検索値 = "" Then Exit Sub
    
    ' 検索範囲の設定
    Set 検索範囲 = Worksheets("Sheet1").Range("A:A")
    
    ' 検索実行
    Set 結果 = 検索範囲.Find(What:=検索値, _
                LookIn:=xlValues, _
                LookAt:=xlWhole)
    
    ' 結果表示
    If Not 結果 Is Nothing Then
        結果.Select
        MsgBox "セル " & 結果.Address & " に見つかりました"
    Else
        MsgBox "見つかりませんでした"
    End If
End Sub